ピタゴーラ!ピタゴラスです!
突然だが皆さんは11n調整というものをご存知だろうか?
ある程度知識のある人ならこう答えるだろう。「ポケモンの性格補正をかけた能力値が11の倍数だと効率が良くなる。」これは性格補正は元の能力値の1.1倍の端数切り捨てなので補正をかける前が10の倍数なら端数が出ないことからそう言われている。
果たしてそうだろうか?
ここでちょっとした数学のクイズをしよう。
【11nが得にならない場合】
意地ASガブリアスを考える。
A特化すると実数値にして200である。
そこでAを11の倍数の198に下げる。
余った努力値を不要なC以外に振り分けてみる。
ここで効率を良くしたい。即ち、C以外の数値の合計をもっとも高くしたい。
3ヶ所振りより数値を得するのでHABDSに振り分ける5ヶ所振りにする。
S252を固定しH4 A236 B4 D4 S252と振るとこのようになる。
ここでAの実数値は11nで余りの努力値が8である。この8をHABDのどこに振っても実数値は1上がる。
ここで考えて欲しい。余りの8をどこに振っても1しか上がらないなら11n調整の何が得になってるのか?
この8をAに回して11n調整を崩しても損することはないじゃないか!
これの理由が分からなければ11n調整を語る資格はない。
何故こんなことが起こるのだろうか?
ここで別の例を考えてみる。
【11nが得になる場合】
なんらかの調整をした時にガブリアスのA実数値が196必要になったとしよう。196は11n-2の値である。
また、この調整ではDに12、Sに252必要だったとする。
ここで全体の合計を多くする為に5ヶ所振りするとしてH4 A196 B4 D12 S252と振るとこのようになる。
ここでまた努力値は8余っているわけだが今回は先程の例と異なる。
この8をHBDに振ると実数値は1しか増えないのに対し、Aに振ると実数値が2増えるのである。
そしてAが2増えると11の倍数になるのでこの場合は11n調整が得になっていると言える。
【どんな時に得になるか?】
この2つの例の違いから11n調整はいつ得になるのか考えることができる。
元々補正箇所に11nができていて余りを振り分ける場合11n調整で得することはないが、11nになっていない調整ラインに余りを振って11nにすると得するのである。
前の記事で似た話をしたがポケモンの実数値の合計を多くする為にはある例外を除いて能力値の高いところを1.1倍、低いところを0.9倍すればいい。例外というのは無補正が最効率になる場合だが詳しくは前の記事を読んで欲しい。
殆どのポケモンは物理か特殊一本なので使わないAかCに下降補正をかけるとする。H以外の一番能力値の高いところを1.1倍することを考える。得するかどうかはこの1.1倍にした時に増える数値が大きければいい。
例えばブレードフォルムのギルガルドの補正なしでの努力値によるCの振れ幅は170〜202である。これに性格補正の1.1倍をかけたときの増え方を考える。増え方は170〜179のとき17、180〜189のとき18、190〜199のとき19、200〜202のとき20である。
端数切り捨てなので3桁の実数値の一の位をとって余った2桁の数字を足せばいい。ここで増え方が一番多いのは200〜202のときに20である。当然200は10の倍数なので補正をかけると220の11nになる。
得をする場合というのは補正により実数値が20増えるときである。これを一般化する。
【結論】
合計の実数値を得するということはそのポケモンの一番高い能力に性格補正をかけた増え方が最も大きいときである。
それぞれの能力値は実現可能な最大の補正前の10n、即ち補正後の11nが存在する。その数値以上なら補正による増え方は同じで最大なので得になる。
言い換えると「11n調整は合計実数値を得する」というのは厳密には誤りで、正しくは「補正箇所の実現可能な最大の11n以上であれば合計実数値を得する」である。
【11n調整は調整ではない】
そもそもポケモンの調整とはHPを16n+1にして残飯持ちがまもみがで回数を最大まで連打できるようにしたり、あるポケモンを攻撃で確定で倒せるようにするというようなものである。明確にこういった動きができるとかこのポケモンを倒せるようになるというのがなければ調整とは言えない。
たまに構築記事とかに調整意図11nとか書いてあるのをみるがそれで誰が倒せるようになるのか書いてないこともある。また、仮にその11nの数値になることであるポケモンを一撃で倒せるようになったとしてもそれは「11の倍数したことが生きた」のではなく「ただ○○確1調整をしたらたまたま11の倍数になった」だけである。
このように11n調整などとただ11の倍数になることを述べてもなんの意味もない。こんなどうでもいいことを書くならチョッキ持ちはDが1.5倍されるから端数がでないようDを2nにするとかいくらでもしょうもない調整意図が書けるようになる。
書くべきは「11n調整」ではなく「たまたま補正箇所が11nになった!なんか美しい!」だろう。
11n調整で調整されているのはポケモンではなく使用しているプレイヤーの心である。
【素早さに11n調整】
100歩譲って調整した余りを補正箇所に回したら11nになって余りを無駄にしていないというなら理解できる。それも効率を重視したら11の倍数になっただけだが、数値が少しでも高い方が攻撃や防御の乱数がズレて生きるかも知れない。
ただ、素早さの11n調整に関しては理解ができない。素早さはABCDとは異なり1違うだけで明確に行動回数に差が生まれるから効率云々言っていられない。例えば最速カミツルギのS実数値は177だが効率がよくなるからといって11の倍数の176に減らすなんてことは同速等を考えたらあり得ないわけである。(さっきの主張からこれはそもそも得になってはいないが)
以前ゲッコウガのSを臆病220振りして最速スカーフバンギラス抜きの11n調整と書いている記事を見つけた。これもバンギにSラインを合わせたらたまたま11の倍数になっただけだろう。そのSの値から1増やしてもスカーフバンギ抜きの何かしか抜けないわけで環境にもよるが完全に努力値が無駄になる可能性が高い。
【実数値計算の暗算方法】(オマケ)
割と有名な話だが知らない人もそこそこいるのでポケモンの実数値の種族値から暗算の方法を紹介しよう。
レベル50を想定
HP
H以外
このように実数値を計算できる。性格補正がかかる場合はその実数値をさらに1.1倍や0.9倍する。
例えばガブリアスの最速の実数値を求めたかったらS種族値102に対して+52してから1.1倍すれば良い。
(102+52)×1.1=154×1.1≒154+15=169
このように計算する。
先程も言ったが154×1.1倍は端数切り捨てになるので154から1の位をとって残った15を元の154に足せばよい。
他にも最遅ナットレイのS実数値をが知りたい場合、種族値20に+5してから0.9倍すれば良い。
(20+5)×0.9=25×0.9≒25-2-1=22
このように計算する。
0.9倍するときは2.5を25から引いて切り捨てるので22になる。
試合中にこの計算が瞬時にできると特にS判定に役立つ。最速スカーフゲッコウガとS+2ゴーリどっちが速いかとか計算できて便利。
【終わりに】
前の無補正が最効率になる話とか今回の11nが調整が無意味だとかいう記事を書いた。調べてないが自分くらいしかこのような努力値に基づく根本的な話をしっかり書いた記事ないんじゃないかなと思う。役に立つかは別としてもっとみんなに見てほしいなあ。
もっと人にブログを読んでほしいとは思うが努力値の基礎の記事を書いても他の人が無限に書いているわけで自分らしい記事にはならない。似たようなものが存在するならわざわざ書く必要は薄い。ブログは自分の書きたいことを書くものだと思っていて閲覧は後からついてくるものだと思う。人の興味を引けるような自分らしい書けるようになりたい。
以上です!
ここまで閲覧ありがとうございました!